酒井竹保の音空を!
2011年 10月 16日
卓道は1971年より、全くの素人から尺八の手ほどきをうけました。師は
竹保流2代目宗家であり、諸井誠氏作曲の「竹籟五章」と古典本曲「真
虚鈴」をCBSソニーからだされ脚光を浴びておられました。
お家にうかがって、そのレコードを聴かせていただきほんとインパクト
を受けました。
今から思うに、竹保師の尺八の世界は、楽式・拍子の無定型、小節・旋
律の即興性そして日本的微妙な表現、まさに普化禅の精神を音韻で表現する明暗古典本曲の世界。「虚吹」を極められ、音の消えゆくかの静寂に、常世を垣間見せ、また「ムラ息」により吹き出される音は、時としてる現世の情念かとも思わせる。まさに色即是空 空即是色の世界と。
1992年竹保師没後、年月の流れの中で、私たちの尺八を育んで下さった師の尺八の時空が薄れていく事を感じるようになりました。
「酒井竹保の尺八の世界を受け継ぎ拡げていくのは、直門であった我々しかないのでは」の思いにかられ、明暗尺八道友会の内山公保、賀茂静保、福本卓道3人は、明暗古典本曲研究会「徒然草」として、師より習い受けた事を譜面化し、「酒井竹保の世界」を形として残す作業に取り組ンできました。
「ああだこうだと」尺八片手に時間をかけ、やっと一区切りがついて、『明暗古典本曲集・「心音」』という譜面集にまとめる作業が大詰めを迎えています。今日も雨の中、住道に出かけて、楽譜の整理の作業をしてまいりました。来年早々には出版したいと思っております。